旅立つ人へ

先にこちらへと旅立った人に、アンタが与える事が出来るのはさ。

涙や哀しみでは無いでしょ？

その人の遺志を。
その人の意思を。
その人がやりたくとも成せなかった事を受け継ぐ事じゃない？

その人が成せなかった事…
『生きる』
って事をさ。

そうする事で、アンタは。
亡くなっても死なない『永遠の生命』を、その人に与える事が出来るわ。


人間なんだから、泣くな、哀しむなとは言わないけどさ。

泣くだけ泣いたら。
哀しむだけ哀しんだら。

その人の成せなかった『生きる』って事に一途になりなさい。

それが、その人を安心させて。
それが、その人への何よりの供養になるわ。

その人は、もう、アンタの居る世界にはいないけど。
あたしらの所で生きているわ。

魂は死なない。
ただ、その在りようを変えるだけ。

水がね。
氷から水へと。
水から水蒸気へと。
その在りようを変えるだけ。

アンタが、観ようとしないから観えないだけで。
感じようとしないから感じないだけで。

その人は、いつもアンタの側にいるのよ。
亡くなったけど、無くなったわけじゃあない。

『魂は死なない。』

これだけは覚えておきなさい。